気候変動への取り組み

カーボンニュートラルに向けた取り組みを推進

2020年度のScope1+2におけるCO2排出量を基準として、短期目標として2024年度末までに10%、中期目標として2030年度末までに30%のCO2削減目標を設定し、取り組んでいます。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく情報開示

TCFD

アルフレッサグループにとって、気候変動はサステナビリティ経営に影響を及ぼす重要課題の一つです。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD※1)の提言※2を活用し、以下の枠組みで取り組みを推進していきます。

※1 国際機関である金融安定理事会によって2015年に設立。気候変動に起因する自社の事業リスクと事業機会を評価し、財務上の影響を把握して情報開示することを提言している。

※2 アルフレッサグループは、TCFDの提言への賛同を表明しています。

ガバナンス(気候ガバナンス体制)

ガバナンス(気候ガバナンス体制)

アルフレッサグループはアルフレッサグループ環境方針の対象別方針の一つに気候変動への対応を掲げています。

当社グループは気候変動に関連する情報開示充実のため、2022年5月、CSR推進委員会の下部組織としてTCFD分科会を設置しました。

TCFD分科会は、グループのリスクマネジメントを統轄するコンプライアンス・リスクマネジメント会議と連携し、気候関連のリスクと機会の特定・重要性評価・対策の推進・モニタリングを実施します。

その内容や進捗は、定期的(年2回)にCSR推進委員会へ報告された後、取締役会に報告されます。

また気候変動問題への対応は中期経営計画に掲げるグループ経営方針にも反映され、事業活動を通じて取り組みを進めていきます。

※CSR推進委員会、コンプライアンス・リスクマネジメント会議は、代表取締役の諮問機関

役割と体制

1TCFD分科会の役割

  • 機会・リスクの洗い出しとシナリオ分析
  • 重要性の評価
  • 具体策の推進(CSR推進委員会、コンプライアンス・リスクマネジメント会議と連携)
  • 進捗のモニタリング(CSR推進委員会、コンプライアンス・リスクマネジメント会議と連携)
  • 情報開示

2気候変動関連リスクと推進・モニタリング体制

CSR推進委員会(TCFD分科会):主に「移行リスク」および機会を所管

コンプライアンス・リスクマネジメント会議:主に「物理的リスク」を所管

戦略

2021年度、当社グループ全体の気候変動に関する影響の評価等のためシナリオ分析を実施しました。事業セグメント別にヒアリングを実施し、下表の2つの想定シナリオを踏まえ、TCFDの分類に沿って短期・中期・長期の時間軸で、事業におけるリスク・機会を洗い出しました。それらの財務影響の大きさは5段階で定性的に評価し、重要度の高い項目について対応策を検討しました。

気候変動への対応は、中長期の経営課題の一つとして検討され、事業戦略に反映していきます。特定されたリスク・機会のうち、全社レベルで重要度の高い項目は以下のとおりです。

想定
シナリオ

1.5℃シナリオ

  • 2050年カーボンニュートラルに向けて、政策・規制導入や市場変化が急速に進行することで、地球の平均気温上昇が産業革命前の水準に比べ1.5℃に抑えられる想定。

脱炭素化に向け、移行による影響が最大

※参照した外部シナリオ:IEA(国際エネルギー機関)Net Zero by 2050シナリオ/SSP1-2.6シナリオ、RCP2.6シナリオ

4℃シナリオ

  • CO2排出削減に向けた政策・規制や社会の取り組みが進まず、地球の平均気温上昇が産業革命前の水準に比べ4℃となる想定。災害などの気候変動による影響が甚大化する。

脱炭素化に向けた移行は想定しないが、気候変動の影響が最大

※参照した外部シナリオ:SSP5-8.5シナリオ、RCP8.5シナリオ



期間 採用理由

~2025年 22-24中期経営計画 終了時期

~2030年頃 約10年先を想定

~2040年頃 約20年先を想定


~2050年頃 政府のカーボンニュートラル目標時期

1.5℃シナリオにおける重要なリスク・機会


想定したシナリオの概要 事業におけるリスク・機会 リスク・機会の内容 時間軸 リスク・機会への対応戦略





  • 2050年カーボンニュートラルに向けて、急速な排出削減が求められる。
  • 自社およびサプライチェーンにおけるCO2排出に対し、炭素価格が導入される。

2030年:130 $/t-CO2

2050年:250 $/t-CO2

GHG排出削減強化による対応コストの増加 リスク
  • 物流拠点や工場、薬局における省エネ・再生可能エネルギー電力の調達、工場における低炭素化に向けたボイラー設備等の入替・導入など、GHG排出削減に向けた対応コストが発生する。
短期~
  • 炭素価格制度や省エネ規制の動向や予測について、モニタリングする。
  • 省エネや再生可能エネルギー活用、設備導入などの対策にかかるコストとそれによる排出削減量を試算しながら、排出削減計画や目標の検討を進める。
炭素価格の導入によるコスト増加 リスク
  • 自社のGHG排出を中心に、炭素価格がかかることで操業コストが増加する。

  • 脱炭素化の観点から輸送の効率化の重要性がさらに高まる。
輸送の効率化による機会 機会
  • ナビゲーションアプリや、配送予測システムなどの開発・導入により輸送の効率化を進めることで、エネルギー使用量やCO2排出量の削減に寄与する。
短期~
  • 引き続き、輸送の効率化に向けた開発に取り組むことで、機会をとらえる。

  • 電源構成の変化や炭素価格の影響等により、電力の単価が中期的に上昇する。
電力価格の上昇 リスク
  • 物流拠点、工場、薬局等で、電力コストが上昇する。
中期
  • エネルギー価格の変動をモニタリングするとともに、価格変動の影響を見込んでおく。
  • エネルギー使用の効率化に取り組む。
  • ガソリン需要の低下に伴い、ナフサが石油精製の主目的となることで、ナフサ価格が上昇する。
ナフサ価格の上昇 リスク
  • ナフサ価格の上昇により、製造事業を中心に、石油化学系の医薬品原料や包材のコストが上昇する。
長期~

  • 投資家や金融機関で、気候変動リスクを踏まえた投資行動や、投融資先へSBT設定等を求める動きが定着・拡大する。
  • 顧客において、再生可能エネルギー導入やCO2排出量削減に対する要求が高まる。
  • 気候変動への取り組みに対し、就活生の関心が高まる。
気候変動対応の遅れによるステークホルダーの信頼低下 機会
リスク
  • 気候変動対策に積極的に取り組む場合、ブランド、資金調達、取引、人財採用において好影響が生じる。
  • 気候変動対策が遅れた場合、ブランド、資金調達、取引、人財採用への悪影響が生じる。
短期~
  • GHG排出削減に向けた積極的な対策を推進する。
  • TCFDのフレームワークに沿った情報開示を実施する。

4℃シナリオにおける重要なリスク・機会


想定したシナリオの概要 事業におけるリスク・機会 リスク・機会の内容 時間軸 リスク・機会への対応戦略

  • 脱炭素化が進まないため、需要増加によって原油価格が上昇する。
原油価格の上昇 リスク
  • 原油価格の上昇により、エネルギーコストが上昇する。
  • 製造事業を中心に、石油化学系の医薬品原料や包材のコストが上昇する。
中期~
  • エネルギー価格の変動をモニタリングするとともに、価格変動の影響を見込んでおく。
  • エネルギー使用の効率化に取り組む。









  • 日本をはじめとする地域で洪水頻度が増大する。
  • 日本をはじめとする地域で猛烈な台風の頻度が増大する。
風水害による拠点への影響 リスク
  • 風水災により、施設、機械などのプロパティ損害、事業停止による利益損害、従業員の出社困難などの影響が生じる。
短期~
  • 引き続き、拠点の移転・新設の際には風水災リスクを事前評価するとともに、物流拠点、薬局、工場等においてBCP(事業継続計画)を推進する。
  • 将来気候での風水災リスク評価も検討する。
  • ハザードマップ等を踏まえ各拠点の風水災のリスクを評価したうえで、リスクの高い拠点から優先的に、対策を検討する。
風水害によるサプライチェーンの途絶 リスク
  • 風水災により、調達先や輸送段階での被災が増加することで、サプライチェーン途絶のリスクが高まる。
短期~
  • サプライチェーンの途絶が発生した場合の緊急時対応について、サプライチェーンの他主体とも協働しながら、体制・ルールを整備する。
  • 一定程度予測可能な災害については、予め在庫の積み増しや、事前に顧客に納品する等の対策を講じる。
  • 代替不可能など、特にクリティカルな原料調達先を中心に風水害のリスクを評価し、必要に応じて調達先の分散可能性について検討する。









  • 気候変動に伴う気温や湿度などの変化による媒介生物(蚊・ダニ等)の生息地拡大、洪水等の災害による衛生環境の悪化、永久凍土の融解、森林破壊の加速によるヒトと生態系の距離が近くなる等で、感染症の発生が増加する。
感染症の発生増加 機会
リスク
  • 感染症の治療薬・診断薬の意義やニーズが拡大する。
  • 感染症の流行によって外出が制限される事態となった場合、病院や薬局の受診抑制等が発生、MRの営業活動が制限されるなどの影響が生じる。
中期~
  • 疾病に対応した製品を取り扱えるような体制を整備する。
  • オンライン対応や訪問販売など、状況に応じた対応で、可能な限りリスクを低減する。
  • 平均気温が上昇する。
温度管理・空調費用の増加 リスク
  • 気温上昇により、物流拠点や薬局、工場・執務室等で温度・空調管理のためのコストが増加する。
  • 医薬品の保管・運搬時の温度管理コストが増加する。
  • 猛暑による工場での機械の劣化・入れ替えなどのコストが発生する可能性がある。
中期~
  • 過去の費用実績を参考に、外気温上昇によるコスト増加を見込んでおく。

全社での重要なリスク・機会として挙げた上記のほか、医療関連事業では「熱波による薬局事業の収益低下(リスク)」「熱波によるオンライン・訪問販売の需要増加(機会)」、医薬品等製造事業では「海面上昇による沿岸部工場への影響(リスク)」がセグメント内の重要なリスク・機会として特定されています。

リスクマネジメント(プロセス)

  1. 情報収集
  1. リスク・機会の
    評価・特定
  1. リスク管理の取り組み
    推進・進捗管理
  1. 取締役会への報告
  1. TCFD分科会は、気候変動に関連する外部の動向を注視するとともに、グループ各社から気候関連リスク・機会の情報を収集します。
  2. 収集した情報を踏まえ、4つの事業セグメントごとにTCFDの分類に沿ってリスク・機会を洗い出し、影響度を5段階で評価します。
    その際、全社リスクマネジメントの評価基準を用いることにより、気候関連リスクのその他のリスクに対する相対的な重要性を判定します。
    その上で事業全体を取りまとめ、総合的にリスク・機会を評価し、グループ全体の重要なリスクと機会を特定します。
  3. TCFD分科会は、コンプライアンス・リスクマネジメント会議へシナリオを提供し、対策の検討・モニタリングを依頼します。
    コンプライアンス・リスクマネジメント会議は、気候関連の「物理的リスク(気候変動が顕在化することによるリスク)」への対応を協議し、当会議が推進・モニタリングを行うリスク対策に組み込み、取り組みを推進し進捗状況を把握します。
    また、TCFD分科会はCSR推進委員会を通じて、主に気候関連の「移行リスク(脱炭素社会への移行に伴うリスク)」への対応を協議し、グループ全体で取り組みを推進し、進捗状況を把握します。
  4. TCFD分科会とコンプライアンス・リスクマネジメント会議の両組織は、情報共有・連携を行い、モニタリング状況等をTCFD分科会が取りまとめ、定期的(年2回)にCSR推進委員会へ報告された後、取締役会への報告を行います。

指標・目標

アルフレッサグループでは、気候変動に関連する重要指標の一つであるCO2排出量について、2050年度にCO2排出量ネットゼロを目標として設定しました。

2020年度のScope1+2におけるCO2排出量を基準として、短期目標として2024年度末までに10%、中期目標として2030年度末までに30%の削減目標を設定し、取り組んでいきます。

再生可能エネルギーの使用や環境配慮型自動車への切替といった対応策は、CSR推進委員会において方針等の検討、およびグループ各社の活動の報告・評価などを行い、その概要を代表取締役および取締役会に報告しつつ、取り組みを進めます。なお、2021年度のScope1+2におけるCO2排出量は、70,411(t-CO2)となっています。

※エネルギー使用量およびCO2排出量については、ESGデータ集も参照ください。

CO2排出量